先日、一部転載した「1984年」は、1949年に発表された
ジョージ・オーウェルの小説です。
全体主義の恐ろしさや洗脳の情景など、
自分に置き換えてみると、背筋の凍るような物語で
もしかしたら今後の生きるヒントになるかもしれませんので、
一度読んでみてはいかがでしょうか?
また、現実世界にリンクする点として
オバマ大統領が「二重思考」を使用していることに気付いたので
ちょっと書かせていただきます。
「1984年」の世界では、オセアニア、ユーラシア、イースタシアの3大地域に分かれ、
恒久的に相互に終わることのない戦争を繰り返しています。
地域を合同する目的とは、支配階級が大衆コントロールを簡単にするためで
2009年現在では、EUの存在、上海協力機構、アジア構想、アメロ構想など、怪しい気配がしてますよね。。
主人公のウィンストンは、オセアニアの住人で、
「ビッグ・ブラザー」と呼ばれる首長を筆頭とする党の占下で働いています。
党のスローガンは以下の3つ。
「戦争は平和なり」
「自由は隷従なり」
「無知は力なり」
あらゆる監視、教育、改竄などにより党は、人々に上記の理屈を押しつけています。
「戦争は平和なり」の屁理屈は以下。
これまでの戦争には必ず勝敗が存在し、勝者は敗者の略奪行為を働いたが、
この世界(「1984年」)では違う。
この世界における戦争とは、支配集団が自国民に対して仕掛けるのであり
目的は社会構造をそのまま保つことにある。
継続化することにより、実は戦争という物自体が存在しなくなったといった方が正確かもしれず
例えば超大国同士が争う代わりに、恒久的な平和を約束し、相手国の領地は侵犯しないと誓ったとしても、結果は変わらないだろう。
なぜなら、そうなっても各国は自己充足的な世界として留まり続け
外部からの危険などは永遠にないからである。
真の恒久平和とは、永遠の戦争状態と同じということであり、
これこそが「戦争は平和なり」の隠された意味である。
「1984年」の世界では、「ニュー・スピーク」や「二重思考(ダブルシンク)」など
特有の言語や思考方法が採用されているのですが
「戦争は平和なり」とは、矛盾する2つの事柄を同時に「信じる」ことができる
「二重思考(ダブルシンク)」を用いた論法で、
党員(国民)は、何の疑いもなくスローガンを「信じて」います。
(正確に言えば、疑ったことを忘れる、という作業も含みますが)
トマス・ピンチョン氏の解説によれば、
社会心理学の分野では「認知的不協和」としても古くから知られ、
シュレディンガーの猫にとっては、生きながらにして死んでいるという
量子力学的なパラドックスであり、
「二重思考」を天才の照明であると考えた人もいるほどで、
米国では戦争を作り出す装置が「国防省」と呼ばれ、
FBIを用いて基本的人権を含む憲法の保障する権利を踏みにじっている部門が「司法省」
と呼ばれていることなど、
現代に置き換えてみても知らず知らずのうちに「二重思考」が私たちの中に
存在・浸透していることを指摘しています。
(もちろん、テレビや新聞の見出しや、ワイドショーの誹謗中傷の中にも…)
そこで先日ノーベル平和賞を受賞したオバマさん。
「誤解してはいけない。世界に悪は存在する」
「国家指導者として、自国防衛に必要なら単独で行動する権利を温存する」
平和と、戦争を仕掛ける権利。
これをイコールにして語るオバマさん。
最新の「二重思考者(ダブルシンカー)」を見たのでした。